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福岡地方裁判所 昭和43年(わ)708号 判決 1969年12月11日

本籍

福岡市大名一丁目三一六番地

住居

同市大濠町一丁目一三番地

会社役員

山本平八郎

明治三九年一一月一七日生

本店所在地

同市中洲二丁目六番七号

山本観光株式会社

右代表者代表取締役

山本平八郎

本店所在地

東京都千代田区永田町二丁目二二番地

株式会社ニユーラテンクオーター

右代表者代表取締役

山本平八郎

主文

被告人山本平八郎を懲役一〇月に、

被告人山本観光株式会社を罰金四〇〇万円に、

被告人株式会社ニユーラテンクオーターを罰金一二〇万円にそれぞれ処する。

被告人山本平八郎に対してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人山本観光株式会社は福岡市中洲二丁目六番七号に本店を置き福岡市内でキヤバレーおよびバーの経営を業とする資本金二三〇万円の同族会社であり、被告人株式会社ニユーラテンクオーターは東京都千代田区永田町二丁目に本店を置き、キヤバレーの経営等を目的とする資本金五、〇〇〇万円の同族会社であり、被告人山本平八郎は右両会社の各代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、

被告人山本は、被告両会社の各業務に関しそれぞれ法人税を免れようと企て、

第一、山本観光株式会社常務取締役津田新彌と共謀のうえ、昭和三九年一〇月一日から同四〇年九月三〇日までの事業年度における被告人山本観光株式会社の実際の所得金額は六、五六七万三、一一八円で、これに対する正当に納付すべき法人税額は二、四〇三万二、三〇〇円であつたにもかかわらず売上の一部を除外し、これを架空名義の簿外預金に留保するなどの方法により所得の大部分を秘匿したうえ、昭和四〇年一一月三〇日、所轄博多税務署長に対し、右事業年度の所得金額は一、八四六万二、七七〇円で、これに対する法人税額は、六五六万四、五三〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右差額法人税一、七四六万七、七七〇円を免れ

第二、昭和三九年九月一日から昭和四〇年八月三一日までの事業年度における被告人株式会社ニユーラテンクオーターの実際の所得金額は二、〇二五万五、一〇〇円であつて、これに対する正当に納付すべき法人税額は七三一万四、三八〇円であつたにもかかわらず、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により真実の所得を秘匿したうえ、昭和四〇年一〇月三〇日東京都千代田区大手町一丁目五番地所在の所轄麹町税務署に対し右事業年度の所得金額は三四九万一、四〇〇円でこれに対する法人税額は一一一万一、八一〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右差額法人税六二〇万二、五七〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告人山本平八郎の当公判廷における供述(被告両会社の各代表者としての資格を含む)

判示冒頭の事実につき

一、福岡法務局登記官針貝鉄春認証の登記簿謄本

一、東京法務局日本橋出張所登記官坂本正夫認証の登記簿謄本

一、被告人山本平八郎作成の上申書(株主名簿)

判示冒頭ならびに第一の各事実につき

一、被告人山本平八郎の検察官に対する昭和四三年一一月六日付供述調書

一、被告人山本平八郎の収税官吏に対する昭和四三年四月一一日付質問てん末書

判示第一の事実につき

一、収税官吏小出直作成の脱税額計算書

一、津田新彌の検察官に対する供述調書二通

一、津田新彌(九通)、大浦芳彦(二通)、江藤学、水口正行、大野澄、荻原折二、石井春義、紙谷公之介、都留良正、日野守隆、熊野きみ江、矢ケ崎博志、津上佳三、庄野道子、渡辺佐一郎、二宮八郎、吉野芳右衛門の収税官吏に対する各質問てん末書

一、津田新彌(九通)、日野守隆(四通)、田中準一(二通)、今井淘也、吉松軍藤、大塚祐之、福田光一、氷松裕、株式会社博多大丸金子譲吉、前崎正信、高橋将美、株式会社ハトヤ大場俊朗、神津清各作成の上申書

一、収税官吏内田実治、同鶴田忠各作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書

一、株式会社福岡相互銀行東中洲支店天野幸正、株式会社西日本相互銀行本店営業部高桑和夫各作成の貸付金並びに預金に関する証明書の謄本

一、株式会社佐賀銀行西新町支店平井晧介、株式会社福岡銀行本店営業部安武真明、株式会社九州相互銀行福岡支店鳥居広一各作成の定期預金証明書の謄本

一、九洲電力株式会社岡部仁生作成の電灯電力使用料金の証明書

一、西部瓦斯株式会社三輪正夫作成の瓦斯使用料金の収納状況証明書

一、福岡市水道局石井透作成の水道使用料金証明書

一、福岡市長阿部源蔵作成の税金収納状況証明書三通

一、西福岡税務署長古賀一海作成の申告所得税収納状況証明書

一、博多税務署長作成の証明書

一、矢ケ崎博志作成の簿外売掛金明細表

一、収税官吏小出直作成の電話照会の回答についての報告書

一、大蔵事務官谷口敬之輔(二通)、同松木卯次郎作成の各写真撮影報告書

一、東京国税局吉田善作作成の「(株)ニユーラテンクオーターの山本平八郎借入金について」と題する書面

一、博多税務署長太田公男作成の法人税に関する謄本二題

一、収税官吏本松正義作成の「告発事件の書類提出について」と題する書面

一、津田新彌作成の「本山一郎名義の簿外借入金の内容について」と題する書面

一、押収してある山本観光株式会社の元帳四冊(昭和四四年押第一一六号の一三)、同売掛台帳一冊(同一四)、同売掛帳三冊(同一五)、同上海引継貸借対照表一枚(同一六)、同公表従業員別給料明細表一綴(同一七)、同不動産売買契約書一綴(同一八)、同日計表一綴(同一九)、同所得税等関係綴一綴(同二〇)、同昭和三九年度一人別徴収簿(同二一)、同給料支給明細書一綴(同二二)、同一人別徴収簿二綴(同二三)、同領収書一綴(同二四)、同伝票一綴(同二五)、同元帳三冊(同二六)、同売掛台帳二冊(同二七)、同元帳四冊(同二八)、同総勘定元帳五冊(同二九)、同掛合帳六冊(同三〇)、同売掛帳四冊(同三一)、同売掛入金メモ帳一冊(同三二)、同営業関係ノート二二冊(同三三)、同売上等集計表一冊(同三四)、同領収証、請求書六枚(同三五)、同領収証、請求書一二枚(同三六)、同不動産取得税通知書領収書一枚(同三七)、同請求書一枚(同三八)、同借入金預金明細一綴(同三九)、同P/L関係書類一綴(同四〇)、同桑野関係書類一綴(同四一)、同庄土地関係綴一綴(同四二)、同リスボン土地関係綴一綴(同四三)、同不動産売買契約書一通(同四四)、同売掛帳一冊(同四五)、同ホステス給料計算書一綴(同四六)、同売掛帳一冊(同四七)、同貸付金台帳六冊(同四八)、同仮払貸付台帳二冊(同四九)、同売掛台帳三冊(同五〇)、同割戻し明細表一綴(同五一)、同ホステス給料明細表二綴(同五二)、同貸付金台帳一冊(同五三)、同一人別徴収簿三冊(同五四)、同給料支給明細綴二冊(同五五)、同売掛帳一冊(同五六)、同法人税申告書一綴(同五七)

判示冒頭ならびに第二の各事実につき

一、被告人山本平八郎の検察官に対する昭和四三年七月一九日付供述調書

一、被告人山本平八郎の収税官吏に対する昭和四一年二月二五日同月二六日、同年三月一日付各質問てん末書

判示第二の事実につき

一、被告株式会社ニユーラテンクオーター中山月見、同大野澄(七通)各作成の上申書

一、被告株式会社ニユーラテンクオーター作成の「法人税等確定申告書写の提出について」と題する書面

(添付の申請書類の写一〇枚を含む)

一、収税官吏作成の株式会社ニユーラテンクオーターの脱税額計算書の謄本

一、大野澄、中山月見の検察官に対する各供述調書

一、大野澄(六通)、山本信太郎(二通)、中原浅子(二通)、伊藤良平(二通)、中川国男、内野二朗、明村富美、海老原啓一郎、岡田エリツク、与田輝雄の収税官吏に対する各質問てん末書

一、有限会社協同企画エージエンシー内野二朗、海老原啓一郎、岡田泰美(E・H・エリツク)、与田輝雄各作成の上申書

一、収税官吏竹内友昭作成の「所得金額計算書」および「修正確定申告書写」と題する各書面

一、株式会社第一相互銀行本店営業部長横塚文彦、日本信託銀行株式会社本店営業部(四通)、株式会社大和銀行虎の門支店長池田義彦各作成の「銀行預金証明書」と題する書面

一、押収してある株式会社ニユーラテンクオーターの売掛金元帳五冊(昭和四四年押第一一六号の一)、同総勘定元帳一冊(同二)、同補助簿一冊(同三)、同売掛帳九冊(同四)、同売掛入金済帳四冊(同五)、同未整理売掛台帳一冊(同六)、同売掛金元帳二冊(同七)、同売掛元帳一冊(同八)、同営業月報一袋(同九)、同営業日報四袋(同一〇)、同売掛台帳八冊(同一一)、同法人税確定申告書一綴(同一二)

(法令の適用)

被告人山本平八郎の判示第一、第二の各所為はいずれも法人税法第一五九条第一項、第七四条第一項第二号にそれぞれ該当するので(判示第一についてはなお刑法第六〇条をも適用)、所定刑中各懲役刑を選択し、以上は同法第四五条前段の併合罪なので、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処しなお情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、判示第一および第二の各所為は被告両会社各代表者である被告人山本平八郎が両被告会社の各業務に関しそれぞれ行つた違反行為であるから法人税法第一六四条第一項に従い被告両会社に対してそれぞれ同法第一五九条第一項所定の罰金刑を科すべく、その所定金額の範囲内で被告人山本観光株式会社を罰金四〇〇万円に、被告人株式会社ニユーラテンクオーターを罰金一二〇万円に、それぞれ処することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

出席検察官 武内徳文

(裁判長裁判官 淵上寿 裁判官 池田久次 裁判官 山内喜明)

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